公認不動産コンサルティングマスターの西川です。
今回は、賃借人退去の難しさについてお話ししたいと思います。
賃貸借契約において、賃貸人には、賃借人に対して、賃貸物の使用をさせ、賃料を請求する権利があります。一方、賃借人には、賃貸物を使用・収益する権利と、賃料を支払う義務があります。
賃貸人は、賃借人の賃料滞納や、賃貸物の損壊、近隣トラブルなど、正当な理由がある場合に、賃借人に退去を求めることができます。
しかし、賃貸借契約は、原則として、契約期間が満了するまで、賃借人には賃貸物を使用・収益する権利が認められています。そのため、賃貸人としては、正当な理由がある場合であっても、賃借人に退去を求めるのは、必ずしも容易ではありません。
具体的には、以下の点が、賃貸人にとって、賃借人退去の難しさとして挙げられます。
正当な理由の要件
賃貸人が賃借人に退去を求めるには、民法617条に規定されている正当な理由が必要です。正当な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
* 賃料滞納 * 賃貸物の損壊 * 近隣トラブル * 建物の老朽化や改築などによる建替え * 転貸や転借の禁止規定に違反した行為
賃貸人としては、これらの正当な理由に該当することを証明する必要があります。
立ち退き料の支払い
賃借人に対して退去を求めた場合、賃借人から立ち退き料の請求を受ける可能性があります。立ち退き料とは、賃借人が賃貸物から退去することにより、賃貸物から得られる利益を失う損害に対する補償金です。
賃貸人は、立ち退き料の支払いを拒否することもできますが、その場合、賃借人と裁判で争うことになり、時間や費用がかかります。
退去に応じない賃借人
賃貸人から退去を求められていても、賃借人が退去に応じない場合もあります。その場合、賃貸人は、裁判を起こして、退去を命じる判決を取得する必要があります。
裁判を起こしても、賃借人が判決に従わない場合は、強制執行によって、賃借人を退去させる必要があります。
賃貸人退去は、正当な理由や立ち退き料などのリスクがあるため、必ずしも容易ではありません。そのため、賃貸借契約を締結する際には、これらのリスクを十分に考慮する必要があります。
また、万が一、賃借人退去が必要となった場合は、早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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